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    2019春夏 パリメンズコレクション
ファッションで表現する「多様性」とは?
性差の垣根を取り払った「ジェンダーレス」から、女性の地位向上を訴える「パワフルウーマン」を経て、2019春夏は「ダイバシティー(多様性)」へ。ここ数シーズンのファッショントレンドは社会情勢を敏感に捉え、ファッションに置き換える動きが続いている。2019春夏、パリメンズデザイナーたちが着目したのは「多様性」だ。ゲイパレードなどの象徴として用いられていたレインボーカラーは多様性を表現する要素として花開いた。素材やフォルム、柄やモチーフなど、あらゆるモチーフがごちゃまぜになったなんでもありのスタイルだ。ビッグシルエットの傾倒は残しつつ、パーツで色を変えたり、一見合わないような色や柄を組み合わせたり、微妙な丈のアイテムをレイヤードさせることで多様性を追求している。

トレンドアイテムは上下の色が異なるテーラードスーツ、ビッグシルエットのブルゾン、1980年代を髣髴とさせるネオンカラーのコート、フィット感のあるショートパンツ、ブリーチデニム、ボディーバッグなど。

多様性を最も強く表現していたのは「THOM BROWN(トム・ブラウン)」。ビッグシルエットのテーラードジャケットにクロップド丈のワイドパンツ、チェックのシャツにチェックのネクタイ…アイテムこそベーシックだが、個々のアイテムをピンク、イエロー、エメラルドグリーン、ブルーなどのパステルカラーに染め、シルエットや丈に変化を与えたスタイルは海のものとも山のものとも言えない、どこにも属さない世界を描き出している。クジラやロブスター、カニ、犬といった小動物がモチーフのプリントにも注目。

一方、「DRIES VAN NOTEN(ドリス・ヴァン・ノッテン)」(デザイナー:ドリス・ヴァン・ノッテン)」はデンマークの建築家兼デザイナーのVerner Panton(ヴェルナー・パントン)の作品とコラボし、彼の作品に見られる革新的なフォルムをファッションに投影した。スポーティーなワークウェアにはブルー、レッド、イエローなどのカラフルなレインボーカラーを用い、波型の曲線があしらわれている。地層を思わせるアースカラーのグラデーションが大胆なスタイルに落ち着きを与えている。

THOM BROWN

DRIES VAN NOTEN