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    2020-2021秋冬 パリコレクション
厳しい時代を生き抜く強い女性のスタイルが台頭
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、開催が危ぶまれた2020-2021秋冬 パリコレクションだったが、会場を行き来するシャトルバスで消毒ジェルが提供されたり、マスクが配布されるなど感染予防に努めながら、2月24日から9日間の日程を無事にやり切り、パリ・ファッション業界を安堵させた。

先の見えない混沌とした時代を払拭するかのように、デザイナーたちはこれまで以上にサスティナビリティを意識したスタイルを提案。また、多様性への傾倒はさらに進化を遂げ、性別や年齢、人種を超越した多種多様なスタイルの増加が見られた。

2020-2021秋冬 トレンドとして最も注目したいのは過酷な時代を生き抜く強い女性のスタイルだ。「MARINE SERRE(マリーン・セル)」が提案したのはマスクとセットになったスーツ。「STELLA McCARTNEY(ステラ・マッカートニー)」は首や口元がすっぽり隠れるオフィサーコート、「PACO RABANNE(パコ・ラバンヌ)」は頭から足先まで覆うメタルメッシュドレスを披露し、身体をプロテクトするロングシルエットのワードローブがランウェイにあふれた。それとは対照的に、フリルやラッフル、レースを多用した装飾過多のロマンティックドレスや、オフホワイトやベージュ、クリームなどの優しいカラートーンを用いたクリーンなワントーンルックなど、女性のエレガンスを追求したスタイルもまた、多くのデザイナーにより提案された。

環境問題に早くから取り組んできた「STELLA McCARTNEY」は、動物の着ぐるみが登場するユーモアあふれるコレクションを展開した。動物たちは来場者が排出する炭素を相殺するための苗木を配布。“自由なスピリットを持つ強い女性”をインスピレーション源に、ビーガンレザーやフェイクシアリング素材を用いて、ゆったりオーバーサイズのワードローブを並べた。オールインワンやケープコートに施されたグラフィカルプリントはロシアのデザイナーERTE(エルテ)のアーカイブとのコラボレーション作品だという。

Felipe Oliveira Baptista(フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ)をクリエイティブ・ディレクター迎え、新たなスタートを切った「KENZO(ケンゾー)」。“GoingPlaces”をテーマに、ボディをすっぽりと包み込むマントのようなコートを披露した。ゆったりとしたロングシルエットのワードローブは砂漠を旅する遊牧民を思わせる。アイコンモチーフとして登場するトラはポルトガル出身の画家Julio Pomar(フリオ・ポマール)から着想を得たもの。バケットハット付きのロングドレスに配したバラやカモフラ―ジュ柄はブランド創始者高田健三のアーカイブからヒントを得てデザインされた。

STELLA McCARTNEY

KENZO